レベッカ



その部分に、包帯越しに触れて、ロイはやっと口を開いた。
不安そうな、掠れた声。


「……ここ、撃たれたんだってね」
「……まぁ、ちょっと、油断した」
「脚も斬られたんだろ」
「言っとくけど、見せねーから」
「太股なんでしょ? 座ってて、痛くねーの」
「……ナイジェルの奴、んなことまで……」
「なんで俺に隠すの」


脇腹をじっと見つめていたロイの声が、不意に低くなる。
アレンは、わずかに肩を強張らせた。

ロイのこの怒り方には、覚えがある。
普段の口喧嘩や、出動先で非道な犯罪者に出会った時とは違う、今ではアレンにしかしない怒り方だ。

アレンは、ロイの顔を見て、眉尻を下げた。


「なんでお前がそんな痛そうな顔すんだよ……」


情けなく歪められた眉と、悲しげな伏し目。
いてぇんだよ、と、悲痛に掠れた声が唇を割って出る。





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