レベッカ
「いてー……あのオヤジ本気で殴りやがった」
「アレン大丈夫? エド先生んとこ行って手当てして貰おうか」
「えー。また怒られるじゃん」
「アレンがあんな欲張るから逃げ切れなかったんじゃん」
「うっせーな、お前は怪我してないんだからいいだろ!」
「あんなんで怪我なんかしてんじゃねーよバカ! 骨までいってたらどーする気だったんだよ!」
「ちょっとー、二人ともやめなさいって」
「三番街のでけー犬のいる家、あるじゃん。あそこ狙おうと思ってんだ、次」
「おいアレン、レベッカまで危ないことに巻き込むんじゃねーよ」
「わかってるっつーの、言われなくてもレベッカにはやらせねーよ」
「えー、あたしだけ仲間はずれ? 行きたいー」
「ダメ!」
友達と呼ぶには距離が近すぎて、親友とも、兄弟とも、なんとなく違う。
若い彼らには心地好すぎる関係は、この先一生、何があっても壊れることはないと、錯覚させるには十分だった。
「ロイ、お前んとこ、また叔母さん殴んのかよ」
「ん? なんともない、こんくらい」
「カッコいい顔が台無しねぇ」
「どこがだよ」
「うっせバーカ。……あんただって最近家帰ってねーだろ」
「……ほっとけ」