レベッカ
「これ……シガテラの街の地図だ」
「え?」
「ほら、ここがさっきいた二番街の宿。こっちが五番街で……こっちの方、ちょっと汚れてるけど、八番街だよ。ここがいつもの公園」
「あ、ほんとだ。……なんであいつがこんなもん持ってんだろ?」
首を傾げながら、しばらくその地図に見入る。
今どこだろう、三番街の外れか、とぼんやり考えていると、アレンがロイの肘に触った。
横を見ると、彼の相棒は、どこか遠くを見て目を見開いている。
「ロイ……あれ」
アレンが呆然と指差しているのは、通りの方だった。
見ると、大きな荷物を持った人物が、歩いている。
二人が身を潜めている小路の方へ近づいてくる、その男は。
「っ!? あいつ……!」
二人がポケットを探ったコートを羽織り、二人が見てしまった鞄を抱えた、あの旅の男だった。