レベッカ



アレンが言った。


「あ。ここ、前の前の被害者の家だ。時々公園で会うじいちゃんの一家だったんだ、死んだの」
「……え?」


ロイは、顔を上げる。


「まさか」
「ロイ?」


ロイは、二重丸のしるしを見ていた。
三番街のこの家も、六番街の二件も、ここも、そっちも、全部、ロイには覚えがあった。

ロイが食い入るように見ている地図を、アレンが横から覗き込む。


「ロイ、早く行かないとまたあいつ」
「これ、この二重丸……全部、強盗殺人の被害者の家だよ」
「え? ……え、うそ」
「丸は……? なんで二種類……」
「丸は被害に遭った家じゃないな」


わかりきったことを、と、一瞬、思ったが。
アレンの言葉に、するりと糸がほどけていくのが、わかった。


「違う……まだ、被害に遭ってない家」
「……え、えっと、ロイ?」
「丸は……カモだ」





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