レベッカ



呆然と地図を見つめ続けるロイの腕に、アレンが手をかける。


「ロイ、なに、どゆこと?」
「だからっ。この丸、強盗に入れそうな、……一家皆殺しにしやすそうな家の、リストかもしれない。犯行が終わったら、もう一つ丸を足して……」
「入れそうな……? じゃあ、これから強盗に入るつもりの家ってことかよ」


きっとあの旅人は、シガテラに着いてすぐに下見に回って、ターゲットの家をチェックしていたのだ。
老人や小さな子供がいて、男手の少ない、一家皆殺しを実行しやすそうな家を。

皆殺しは、目撃者を生かしておくと厄介だから。
大きなノコギリ刃のナイフは、最小限の攻撃で、効率良く致命傷を与えるため。

計画的で、残忍な犯行だ。

きっと、他の町でも同じようなことをしてきたに違いない。
きっとシガテラを出て次の町へ移っても、また罪のない人間を惨殺するのだ。





< 56 / 226 >

この作品をシェア

pagetop