レベッカ
体は限界だった。
十六階もある宿の非常階段を上り、屋上からロープ一本で最上階へ入り込み、そして同じ道を帰りは全速力で戻って、しかもその途中では突き飛ばされたり殴り飛ばされたりしたのだから、当たり前ではある。
けれど、絶対にここで止まるわけにはいかなかった。
エドがレベッカに会ったのは八時過ぎ、ロイとアレンがちょうど、宿から逃げて走り回っていた頃。
真っ直ぐ帰っているなら、もうとっくに家に帰り着いているはずだ。
だが、その直後に二人は、三番街を歩く殺人鬼の旅人を見た。
彼もまたあのまま寄り道せずに歩いているなら、そろそろ八番街のあの公園の近くまで来ていてもおかしくない。