レベッカ
だが、急げばなんとか先回りできなくもない。
間に合わなくても、殺人だけは阻止しなくては。
なにしろこっちには、アレンのマシンガンがあるのだ。
いくら巨大なナイフを持った連続殺人鬼でも、弾丸の雨から逃げられるなんてことはないはずだ。
その一心で、今にもくずおれそうな膝を無理矢理に動かしていた。
もうすぐ七番街を抜ける。
公園の角の、大きなリンゴの木が見えてくる。
その瞬間、二人の耳に飛び込んで来たのは、ナディ――レベッカの、年の離れた小さな妹の、耳をつんざくような悲鳴だった。
「ナディッ!!」
「レベッカ!!!」