レベッカ
旅人が、一歩二人の方へ足を踏み出す。
ロイは思わず、後ずさっていた。
アレンが、こちらを見ているレベッカから視線を外して、ゆっくり彼へと移す。
そして、右腕を構えた。
「……マシンガン」
ナイフを持った腕をだらりと下げたまま、旅人は呟く。
高くもなく低くもない、感情の籠らない声だった。
アレンが、ふらりと体を揺らす。
倒れるのかとロイが手を伸ばすが、自分で持ち直して、不安定なままでマシンガンを構えて立った。
「へぇ、撃つのか」
抑揚のない声。
アレンの足に力が入る。
肩がぐっと引かれた。
ロイはそれを、一切何も感じずに見ていた。