レベッカ
――ばしゅっ、
だが、ふとアレンが後ろに倒れ込んで来て、ロイは我に返る。
慌てて体を支える。
「あ……アレン? アレン、おい」
「なんだ、撃たないのか」
旅人が、少し残念そうな色を滲ませた声で、呟く。
(――なんだ、こいつ……)
ロイははじめて彼に、恐怖以外の別のもの、言い様のない不気味さのようなものを感じた。
失神してしまったらしいアレンを、庇うように腕に抱く。
そうだ、彼女のマシンガンは、無尽蔵ではないのだ。
アレンが疲れれば弾は出ない。
彼女の体力は、とっくに限界に達していたのだ。
そんな当たり前のことを忘れて、ここに辿り着きさえすればなんとかなると考えていたのは、明らかに二人の軽率さだった。