レベッカ
「っお゙あ゙あ゙ぁぁっ!!」
しかし、それは間に合わなかった。
男の肩をなにかが貫き、それは後ろの石塀にめり込んでいた。
――弾丸だ。
それは、女の指先から発射されたものだった。
手には何も持っておらず、何か細工がされてあるわけでもない。
紛れもなく女の体内で生成され、指先を銃口のように通り抜けて撃ち出された、正真正銘の弾丸だ。
それは、この惑星――無限郷(ユークロニア)の用語で『アーミー』という、体中が銃火器や刃物などの武器になる能力を持つ者の特徴である。
「うあ゙ぁ……いてぇ、ちくしょう」
アラン海地方では別に珍しくもなんともない力だが、男は不運なことに、アラン海の出身ではなかった。
だから、目の前に華奢な女が立ちはだかったのを見て、油断してしまったのだ。