レベッカ
責められている気がした。
あそこで、アレンを犠牲にする覚悟で、レベッカの亡骸を運び出すべきだったのだろうか。
あの場で、明らかにもう命のないレベッカより、気を失っただけのアレンを選んではいけなかったのだろうか。
責めてくれた方が楽だと思った。
けれどアレンは、何も言わずに黙り込んでしまった。
俯いてきっと泣いている彼女の考えが、手に取るように、痛いほどにわかるからこそ、ロイも言葉を失う。
アレンは、あそこで撃てなかった自分を責めている。
かける言葉がみつからなかった。
やっぱり自分は、あの旅人に言われたように、バカなのだ。
アレンのマシンガンがあれば大丈夫、ライフルを突き付けたから大丈夫。
その油断で何度も間違いを犯した。
あんな時に最良の判断ができなければ、こんな時にアレンを少しでも救ってやれなければ、いくら勉強ができたって、いくら口喧嘩で負けなくたって、何の意味もないのだ。
エドが、何も言わずに深々と頭を下げる。
以前何かの事件で見た、“被害者遺族”を労るピースフォース隊員の仕草だった。
レベッカは死んだのだ。
その真摯すぎる礼が、その事実を容赦なく突き付けて来るような気がした。