レベッカ




「……ロイ?」


懐かしい声を聞いた気がして、ロイが顔を上げたのは、一人になって半年が過ぎた頃だった。

いや、気のせいではないとわかっていた。
アレンとレベッカの声だけは、絶対に聞き間違えないという自負がある。

八番街のあの公園だった。
最後の登校日を残して、結局集まることのなかった、東屋の学校。


「……アレン、腕」


半年前、事件の頃より細くなった二の腕に、雑に包帯が巻かれていた。

それを見て顔をしかめたロイを、アレンが訝しげに見る。
それが、「お前にはもう関係ないのに」と言っているようで、ロイは口をつぐむ。






< 73 / 226 >

この作品をシェア

pagetop