レベッカ
実際にそう言われたら、言い返せない。
ロイはあの夜、レベッカを見捨てたのだ。
例えもう息がないとわかってはいても、アレンにはそれが許せないだろうと、十分わかったうえで。
だからロイは、アレンの側にいることもやめた。
無茶苦茶な理屈だが、そう思ったのだ。
レベッカを守り切れなかった自分に、アレンを守る資格はないと。
三人でなければいけない。
そう思った。
アレンが、ロイの顔をちらりと見て口を開く。
目の下には、昨日ついたばかりの大きな痣があった。
「お前だって似たようなもんじゃん」
「……まぁ」
「あの時の、怪我は」
「とっくに治ったよ」
「そー」
「そっちこそ、折れてなかったの」
「ヒビだけ。もう治った」
ろくな治療もしなかったのだろうと、お互いに思っていた。
「アレンも、エド先生に?」
「うん」
それきり、会話が途絶える。
やがてエドが来て、二人の顔を見て久しぶりだなと呟いても、あの時の強盗殺人犯を射殺したと告げても、二人は時間が止まったみたいに、無言のままだった。
あの一件以来この街での犯行がやりづらくなって、シガテラを出るところだったらしい。