レベッカ
「蜂の巣だ」
「……」
「もう十回殺しても足りないがな」
ピースフォースに囲まれても、焦った素振りも見せなかったんだ。
我々もなめられたものだな。
そう呟くエドの言葉が、しばらく経ってやっと脳に届く。
あいつが死んだ。
この町だけでも九件の家で強盗殺人を犯し、レベッカと家族を殺して、火を放ったあいつが、死んだ。
あの古ぼけたコートも、大きな鞄も、血のこびりついたノコギリ刃のナイフも、全て海に落ちて消えた。
「なぁ」
エドが、前に見た時よりもいくらかやつれた表情で、行った。
半年もの間、どれくらいの無理を押して捜査してきたのだろう。
「ピースフォースに入らないか」
その言葉に、二人は顔を上げた。
「あんな犯罪者をちんたら追っていても、なにも変わらない。ピースフォースはもっと絶対的な存在になるべきなんだ」
他人を理不尽に傷付けるとどうなるのかということを、圧倒的な力で教え込んでやるような、そんな組織であるべきだ。
熱のこもった声でもなく、ただ淡々と言うからこそ、その言葉には説得力があった。
「ロイ、アレン。君たちが変えてくれればと、私は思っている」