レベッカ
ある日アレンは、リハビリを兼ねた散歩に付き合ったロイと、五番街の喫茶店にいた。
シガテラ島内は、政府を北東の端に据え、すぐ下が一番街、南西に向かって八番街まで分けられている。
ピースフォース本部があるのは、一番街の中心だ。
その近辺にも勿論軽食店や酒場はあるが、いかんせん役人が多い。
二人がわざわざ街を下りてきたのは、他人に聞かれたくない話をするのに、ごみごみした喧騒が必要だからだった。
「ご注文は?」
「コーヒーと、ホットケーキ。……アレンは、カフェオレ?」
「うん」
「何か食う? てゆうか、もう固形食っていいの」
「うーん……ピラフ」
「あ、ガムシロップ、二つください」
「かしこまりました。少々お待ちくださーい」