君に届くまで~夏空にかけた、夢~
なにあれー。


キモー。


てか、古っ。


サムッ。


お前がむかつくよ。


まあ、飛び交う、飛び交う、健吾への非難ゴウゴウ。


非難の声が飛び交う片隅で、響也がぽつりとつぶやいた。


「おれ……しゃべってねえのに……」


その時、トイレに行っていた花湖が戻って来て、


「修ちゃん」


とおれの耳にこそこそ言った。


「あのね、ぐっちゃんが、職員室に来いって」


「え、おれ? 何で?」


「分かんない」


「あ、そう。うん。分かった」


ぐっちゃんとはおれたちの担任の田口先生のあだ名だ。


そして、ぐっちゃんは野球部の顧問だ。


窓から見えるグラウンドを見ると、炎天のもと、野球部の後輩たちが練習をしていた。


確かにコーチや父兄たちの姿はあるけど、監督であるぐっちゃんの姿がない。


響也と健吾に「行ってくる」と告げて、何だろうかとぼんやり考えながら職員室へ向かった。


「失礼します」


職員室に入って、まず、ぶっ飛んだ。


「修司。こっちに来なさい。桜花大附属高校の、鈴木監督と杉原コーチだ。挨拶しなさい」


そして、固まって、頭がくらくらした。


「さ、座りなさい。平野くん」


固まるおれを椅子まで誘導して座らせてくれたのは、教頭先生だった。


鈴木監督と杉原コーチはぴしっと背広を着ていて、胸元には桜花の校章のバッジをつけていた。


まず先に口を開いたのは、鈴木監督だった。
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