君に届くまで~夏空にかけた、夢~
消えろ、消えろ、消えろ。
まぶたの裏側に、鮮明によみがえる先輩の涙。
頼むから、消えてくれないか。
眠って、目が覚めた時、消えている事を切に願う。
おれは……あの涙を見なかった事にできるのだろうか。
「消えてくれよ」
熟れたマンゴー色の月がどろどろに溶け落ちてしまいそうな、暑くてむしむしの、亜熱帯夜だった。
まぶたの裏側に、鮮明によみがえる先輩の涙。
頼むから、消えてくれないか。
眠って、目が覚めた時、消えている事を切に願う。
おれは……あの涙を見なかった事にできるのだろうか。
「消えてくれよ」
熟れたマンゴー色の月がどろどろに溶け落ちてしまいそうな、暑くてむしむしの、亜熱帯夜だった。