君に届くまで~夏空にかけた、夢~
「何が?」
きょとんとして小首を傾げた鞠子の手のひらが猛烈に熱くてびっくりした。
火傷しそうなほど熱い。
ちょっと普通の体温とはかけ離れた熱さだった。
「何がって、お前……」
もしかしたら、この4日間の強化練習で熱中症になってんじゃないのか、とか。
おれなりに、かなり心配になった。
心配になるくらい、鞠子の手のひらは灼熱だった。
しかも、手のひらだけがサルのケツみたいに真っ赤になっているのだ。
「ちょっとごめん」
と先に断ってから、鞠子の額に手のひらで触れた。
ひゃ、と鞠子が声を出して目を大きくしておれを見る。
「……あれ? ……つめてえ」
鞠子の額はひんやりしていて、逆におれの手の方が熱いくらいだ。
「なになに、なんなの?」
と鞠子が、おれの手首を掴んで額から剥がした。
あっつ。
「鞠子の手のひら、なんでそんな暑っちーの?」
「あ。ああー、まあ、ちょっとね」
あはは、と完全に濁した鞠子の手はやっぱり猛烈な熱を放出していた。
「それより、ほら、これそっちにやって」
段ボールを指さしながら急かすように言うので、おれは言われた通りに本棚の隅にそれを追いやった。
そして、スポーツバッグを一気に背負う。
振り向くと、鞠子がおれを見上げながらにこにこしていた。
「……何? まだ何か?」
「修司さ。また伸びた?」
鞠子がちっちゃい手でひょいひょいとジェスチャーする。
「ああ、背?」
「うん」
「先週測ったら3センチ。止まんねんだよな。そのうち2メートル行くかも」
2本の指を立てて笑うと、鞠子もつられたように笑った。
「この際、ギネスに挑戦とかどう?」
「考えとく」
入学時は180だったものが、この4ヶ月の間に3センチも伸びていた。
「あと2センチで、菊地先輩に並ぶね」
「あ……」
何気ない鞠子の一言が、ずしっと重くのしかかる。
きょとんとして小首を傾げた鞠子の手のひらが猛烈に熱くてびっくりした。
火傷しそうなほど熱い。
ちょっと普通の体温とはかけ離れた熱さだった。
「何がって、お前……」
もしかしたら、この4日間の強化練習で熱中症になってんじゃないのか、とか。
おれなりに、かなり心配になった。
心配になるくらい、鞠子の手のひらは灼熱だった。
しかも、手のひらだけがサルのケツみたいに真っ赤になっているのだ。
「ちょっとごめん」
と先に断ってから、鞠子の額に手のひらで触れた。
ひゃ、と鞠子が声を出して目を大きくしておれを見る。
「……あれ? ……つめてえ」
鞠子の額はひんやりしていて、逆におれの手の方が熱いくらいだ。
「なになに、なんなの?」
と鞠子が、おれの手首を掴んで額から剥がした。
あっつ。
「鞠子の手のひら、なんでそんな暑っちーの?」
「あ。ああー、まあ、ちょっとね」
あはは、と完全に濁した鞠子の手はやっぱり猛烈な熱を放出していた。
「それより、ほら、これそっちにやって」
段ボールを指さしながら急かすように言うので、おれは言われた通りに本棚の隅にそれを追いやった。
そして、スポーツバッグを一気に背負う。
振り向くと、鞠子がおれを見上げながらにこにこしていた。
「……何? まだ何か?」
「修司さ。また伸びた?」
鞠子がちっちゃい手でひょいひょいとジェスチャーする。
「ああ、背?」
「うん」
「先週測ったら3センチ。止まんねんだよな。そのうち2メートル行くかも」
2本の指を立てて笑うと、鞠子もつられたように笑った。
「この際、ギネスに挑戦とかどう?」
「考えとく」
入学時は180だったものが、この4ヶ月の間に3センチも伸びていた。
「あと2センチで、菊地先輩に並ぶね」
「あ……」
何気ない鞠子の一言が、ずしっと重くのしかかる。