君に届くまで~夏空にかけた、夢~

それぞれの想い

翌日、野球部に激震が走ったのは言うまでもない。


4日間の強化練習明けだったことから、練習は午後1時からだった。


でも、1年はグラウンド整備と道具の準備があるため、正午にはグラウンドに出るのだが。


「なあ、まだ連絡つかねえのかよ」


「こんな事、初めてだよな」


「誘拐されたとか」


「お前なあ、それまじだったらしゃれんなんねえだろうが」


「誰かあいつんち分かんねえの?」


「まじでどうしたんだろうな」


準備に身が入らず、1年はうろたえていた。


1分1秒たりとも遅れた事なんてない鞠子が来ないのだ。


おれだってうろたえる。


昨晩、鞠子は急に態度がおかしくなって、明らかによそよそしくて、たどたどしくて。


呼び止めたけど、完璧に無視されたし。


一番引っかかるのは、あのメールの内容だ。


もう頼らないって……一体何なんだ。


どういう意味なんだ。


あのメールと、来ない事と、関係があるのだろうか。


まいった。


やっぱり、おれが何かやらかしたんだろうか。


でも、そうだとしても、自分が何をやらかしたのか、本当にこれっぽっちも検討がつかないのだ。


悶々としながらグラウンドレーキ(トンボ)をザリザリ押し進むおれに、


「「修司!」」


辻兄弟が駆け寄って来た。


そして、おれをサンドウィッチの具にして、辻兄弟もレーキを押し歩く。


やっぱり困惑する。


どっちがどっちか分かんねえや。
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