君に届くまで~夏空にかけた、夢~
「実はね」
突然、鞠子が振り向いて思わずとっさに目を細めた。
鞠子は、笑っていた。
「わたし、失恋したの」
窓から差し込んでくる陽射しが。
いや、鞠子の笑顔がやたらと眩しくて、まともに見る事が出来なかった。
「え! 鞠子、好きなやついたの?」
「いた! っていうか、いる」
ひひ、と恥ずかしそうに笑って、鞠子は頷いた。
「けど、完璧に振られちゃった。ていうか。告白する前に門前払いっていうかね」
「なんだよ、告白してねえのかよ」
「でも、振られたの」
「意味わかんね。告白してみればいいだろ。まだ分かんねえじゃん」
おれが言うと、鞠子は弱く首を振ってまた笑った。
「分かる。撃沈。すごく大好きな人に失恋しちゃった」
ベタかな、と短い髪の毛に触れて、エスプレッソティーを口に含んだような笑い方をした。
ああ、そうか。
だから昨日、あんな顔してたのか。
失恋した鞠子には酷な発言だったのかもしれない。
と反省した。
恋愛しに来たわけじゃない、とか。
そんな事に時間割いている余裕はない、だとか。
鞠子の恋心そのものを真っ向から全否定したようなものだ。
「だからね、切ったんだ」
と鞠子はおれに背中を向けて、サーバータンクに氷を入れ続ける。
「なんだよ……告白もしてねえのに、勝手にダメだって決めつけんなよ」
頑張れよ、そう言ったおれを鞠子は呆れた様子で笑った。
突然、鞠子が振り向いて思わずとっさに目を細めた。
鞠子は、笑っていた。
「わたし、失恋したの」
窓から差し込んでくる陽射しが。
いや、鞠子の笑顔がやたらと眩しくて、まともに見る事が出来なかった。
「え! 鞠子、好きなやついたの?」
「いた! っていうか、いる」
ひひ、と恥ずかしそうに笑って、鞠子は頷いた。
「けど、完璧に振られちゃった。ていうか。告白する前に門前払いっていうかね」
「なんだよ、告白してねえのかよ」
「でも、振られたの」
「意味わかんね。告白してみればいいだろ。まだ分かんねえじゃん」
おれが言うと、鞠子は弱く首を振ってまた笑った。
「分かる。撃沈。すごく大好きな人に失恋しちゃった」
ベタかな、と短い髪の毛に触れて、エスプレッソティーを口に含んだような笑い方をした。
ああ、そうか。
だから昨日、あんな顔してたのか。
失恋した鞠子には酷な発言だったのかもしれない。
と反省した。
恋愛しに来たわけじゃない、とか。
そんな事に時間割いている余裕はない、だとか。
鞠子の恋心そのものを真っ向から全否定したようなものだ。
「だからね、切ったんだ」
と鞠子はおれに背中を向けて、サーバータンクに氷を入れ続ける。
「なんだよ……告白もしてねえのに、勝手にダメだって決めつけんなよ」
頑張れよ、そう言ったおれを鞠子は呆れた様子で笑った。