相手にされない王子様
「有川が本気で好きだったからだ」
「好き、だった…?」
やっぱり俺は甘いかもしれない。幸せの絶頂に水を差したくなかった。
だから1つだけ嘘を吐いた。
「自分でも重症かって思った程にな。でも今はもう何とも思ってない」
もう、振られたんだ。
言っても構わないだろう。
「……スバちゃんの嘘つき。嘘を吐く人は嫌いです。
明日、放課後。きちんとした言葉を用意して屋上へ来て下さい」
はぁ!?
「言葉って…「帰りましょう、はじ君」
俺は手を繋いだままの2人を茫然と眺めていた。