相手にされない王子様
「……気づけなくてごめんな。こんな奴で頼りないかもしれないけど……俺の前では無理をしないでくれないか?」
そんな格好にされて平気な奴なんていねーんだ。
有川には今、嫌いだと言われ、付き合いを切られているが、それがどうした。そんなの、俺には関係ねー
「………信用出来ません」
俺が予想していた回答とはまた、違った。
有川の歩が止まり、必然的に俺も進めなくなる。
「どうせ私がスバちゃんを本気で好きになってしまったら、スバちゃんは私を捨てるのでしょう!?
そんなことを言いながら、ずっと私をからかってるんでしょう!?
――クラスの人に…そう、言われました」
俺はゆっくりと振り返る。
「私はスバちゃんが冷たくなってしまうのが一番…恐い、です」
そう言って彼女は涙を流し始めた。