相手にされない王子様
…コイツはどんな嫌がらせを受けても耐えていた。
それこそ俺が確信をもてないくらい。
だけどコイツは傍に居た奴が離れて行くのが恐いと言う。
今までクラスで遠巻きにされていた分、そう言う奴の大切さを知っているのかもしれない。
「俺はお前から離れて行かねーよ。誰がこんなに面白い奴から離れんだよ」
俺はハンカチも持っていなければ、
抱きしめて俺の胸で泣けなんて言うことも出来ない。
だから俺は自分の服の袖で涙を拭ってやりながら、
「有川はバカだな」
こんなことを言うしか出来ないんだ。