April fool


「夢優花ね、彼氏できたんだ~!」

「エイプリルフールのちょっと後に言ってたよね?おめでとー。」

いち早く反応したのは埜慧だった

「そうそう。なーのんには言ってた人~。うひ、ありがと~。」


「おめでと。だけどさ…相手、誰?」

「美羅、そんなこわい顔で言わないー。」

音亜に怒られる美羅

「音亜、大丈夫だよ。あんね、相手は笹倉くんなの。」

みんなの息を呑む音が聞こえた

「夢優花さ、他中の好きな人について笹倉くんに相談してたじゃん?そしたらそれがきっかけで仲良くなって、エイプリルフールに告白されたの。」

「気が変わったってこと?」

さらに顔を険しくする美羅

「初めは『冗談でしょ?』っていたんだよ?だけど『まじで!』っていわれて付き合うことになったんだ。」

質問に対して答えなかったけど
美羅はそれ以上追求しなかった

みんな複雑な顔をしながらも

おめでとう、っていってくれた。


話が終わってからしばらくして

深刻な顔で音亜が美羅を連れて行った


ひっそり近くまで行ってみると

「…む…────。」

「そうなのっ!?好きでもないのに付き合うとかサイテー!!」

音亜の声は、はっきり聞こえなかったけど

怒りで声が大きくなってる、美羅の声は聞こえた。
「美羅ちょっと声大きい。でさ、どうしよう。ほんとのこと…──」

急いでそこから離れた


続きはよく聞こえなかったけど、夢優花の悪口だよね?

二人ともおめでとう、って

いってくれたのに。

残ったのは空虚感。

でも、しょうがないのかな。

好きな人がいて恋愛相談してたら

その相談をしてた相手と
付き合い始めたのだから。
他の人から見れば、夢優花はただの男好き。

< 4 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop