April fool
「夢優花ね、彼氏できたんだ~!」
「エイプリルフールのちょっと後に言ってたよね?おめでとー。」
いち早く反応したのは埜慧だった
「そうそう。なーのんには言ってた人~。うひ、ありがと~。」
「おめでと。だけどさ…相手、誰?」
「美羅、そんなこわい顔で言わないー。」
音亜に怒られる美羅
「音亜、大丈夫だよ。あんね、相手は笹倉くんなの。」
みんなの息を呑む音が聞こえた
「夢優花さ、他中の好きな人について笹倉くんに相談してたじゃん?そしたらそれがきっかけで仲良くなって、エイプリルフールに告白されたの。」
「気が変わったってこと?」
さらに顔を険しくする美羅
「初めは『冗談でしょ?』っていたんだよ?だけど『まじで!』っていわれて付き合うことになったんだ。」
質問に対して答えなかったけど
美羅はそれ以上追求しなかった
みんな複雑な顔をしながらも
おめでとう、っていってくれた。
話が終わってからしばらくして
深刻な顔で音亜が美羅を連れて行った
ひっそり近くまで行ってみると
「…む…────。」
「そうなのっ!?好きでもないのに付き合うとかサイテー!!」
音亜の声は、はっきり聞こえなかったけど
怒りで声が大きくなってる、美羅の声は聞こえた。
「美羅ちょっと声大きい。でさ、どうしよう。ほんとのこと…──」
急いでそこから離れた
続きはよく聞こえなかったけど、夢優花の悪口だよね?
二人ともおめでとう、って
いってくれたのに。
残ったのは空虚感。
でも、しょうがないのかな。
好きな人がいて恋愛相談してたら
その相談をしてた相手と
付き合い始めたのだから。
他の人から見れば、夢優花はただの男好き。