砂漠の水車
「奴等なら帰ったよ」
老人は嬉しそうに言った。
「ノシャックの方に、ね、奴等塒を抱えてやがる」
「やっぱり。
ということは、僕らは歩かなければなりませんねぇ」
ヒツギが出ていく吐息ごと膝を曲げてしゃがみこんだ。
ついてくるんじゃなかった…とつくづく思うが、しかし帰ったって仕事が無いことに変わりは無いのだ。
これも食うためと思えば灼熱地獄もなんのその。
「ありがとうございます、お爺さん」
「ああ、いや、いや…」
老人は底無しにいい人なのだろう。
無理矢理水を飲まされて話を聞かされた無礼講な輩にも、特に憤慨する様子はない。