砂漠の水車
「どうします?
ここに誰もいないんじゃ、情報の手に入れようもないですね」
5人組が次々とヴェールを取った。
その中の一人、金髪の青年が言った。
彼の声色が変わらないものの、顔色はこの暑さのくせに真っ青になっている。
広がる死人の山――…そういうのを、あまりすんなりと見過ごせない質なのだ。
「いっそ、彼らを埋めて墓でも建てながら誰かを待つか、アルファ」
「――…」
からかうように笑う隊長を、怒ったらしい瞳で見つめた。
碧眼は、他の奴らと違って幾らかはっきりしている。
副業で何度か諸国を旅した経験のあるアルファは、暑さのあしらい方を僅かばかり心得ているのだ。
「…思ってもいないことを。
任務は大佐の救出だけ、他に、特に死人の供養なんて大嫌いでしょう、君」
「冗談だ」
ジンは緩んだ口許をすぐに正し、元の無愛想な隊長面になった。