砂漠の水車



「僕はれーちゃんみたいに君の犬になったつもりはない、意見もするし喧嘩もします。

僕が君の副隊長になったのは、君に存在しなかった存在になるため、君が幸せであれるように傍にいるためですよ」


「赤ん坊を殺さないことが即ち俺の幸せとどう繋がるかさっぱりだな」


「幸せになるためにはいろんなものを愛さないといけないって、誰かが言ってました」


「それで」


「君にそっくりです、この子――…いえ、同じ様になるでしょう、『生まれてすぐ両親を殺された』君みたいに、淡白で、いや、淡白なフリしてきっと延々と運命を憎むんでしょう、ほんとは悲鳴をあげたいくせに誰にも頼らずでも弱い自分を惨めだと勘違いして哀れんでは嫌うのでしょう、そして同じ様になりうる子をまた嫌うのでしょう、だからその手で殺したがるのでしょう!」


「…………」




先生、なにを言ってるかさっぱりです。


ああお耳が痛い。


痛くて痛くて、泣いてしまいそう。




「君は君が大嫌いだから、似て育つであろう子どもを殺したがる――…無条件に幼い子を嫌うのは君が君をまだ子どもだって自覚があるからだ。

ねえ、そんなの――痛々しくて僕は見てられません」




だから諭すのか。


だから止めるのか。


だから『俺を殺す』俺を哀れんでくれるのか。


俺はそれで救われるのか。



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