砂漠の水車


「偽善者め」



笑ってやった。


心の底から、この教師然とした兄貴分兼優しい部下を笑ってやった。


ああなんて酷い奴なんだろう、俺という人間はなんて冷酷で残忍な人なんでしょう、自分を守るためなら誰にだって嘘をつける。



惨めは死ぬほど嫌なんだもの。


死ねないけれど、ああ、それなら、惨めは死ぬより嫌なんだもの。



なんて惨めなクソガキでしょう。


自分死ねないけれど殺したくて仕方がないから、似たような人形見つけてはこういう風に殺したがる。



なんて残念で、馬鹿で、どうしようもない阿呆なんでしょう。


でも―――…惨めは死ぬより嫌なんだもの。



こんな小さい生き物が俺の『擬似』だなんて死んでも認めるものか。






「ああ、俺は俺が大嫌いさ。

だけどそんなのどうだっていい、今すべきは規律違反の魔術師とその一家を殺害し消し去ることであり、その仕事が出来上がれば過程なんてどうでもいいだろう。

なあ――今更蒸し返すなよ、アル」



「ジンくん」


危うく完全に脱線するところだった。


仕事において公私混同許すまじ。



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