砂漠の水車
「悪いな、アル」
「――――…っ」
気がついた頃にはもう遅い。
我が暗黒のレイピア剣は素早く舞い、アルファの腕に抱かれた赤ん坊の身体をズブリと貫通した。
子どもだって容赦なく殺せるさ、こうもあっさり。
『だってなんとも思っていないから。』
「ジンくん、君っ…」
「痛くも痒くもない、ああ、心もだ」
胸がスッとした。
前述したアルファの理屈と偽善が真実か否かは放っておいても、それは紛れもない事実だ。
「ほら、ずっと抱えてるとスーツが台無しだぞ」
「………っ」
「切り上げは速く。
くだらない屁理屈並べてないで、さっさと失せよう」
「人でなし」
それで結構。