砂漠の水車
弾丸の跡もない街の壁に火薬、ということは、重火器が持ち運ばれたと考えて問題なかろう。
ここから5人の団体行動は多少ながら危険なので、二手に別れて連絡を取り合うことにする。
「アルファとグレン、ヒツギは街の外側、レインは俺と街の内部だ」
「ラジャー」
別れる前に、それぞれ赤い装飾のピアスを身につけた。
ワイヤレス携帯無線機である。
装飾の趣味は、これを開発した研究室の変態だが。
「窖を見つけ次第連絡。
わかってるとは思うが、今回はあくまで大佐の救出が第一だからな」
「そんなこと、お前に言われたくねえっつの」
ヒツギはさも面白くなさそうに、唇を尖らせてそっぽを向いた。
「その台詞、ままお前にかえそうか。
一番実力行使に出そうだしな」
「ああっ!?」
「まーまー。
そのために僕がいるんですから」
「…………」
「グレンっ、フォローの一言くらい言えねえのかよっ」
「…特に」
「けっ!!」