砂漠の水車


弾丸の跡もない街の壁に火薬、ということは、重火器が持ち運ばれたと考えて問題なかろう。


ここから5人の団体行動は多少ながら危険なので、二手に別れて連絡を取り合うことにする。


「アルファとグレン、ヒツギは街の外側、レインは俺と街の内部だ」


「ラジャー」



別れる前に、それぞれ赤い装飾のピアスを身につけた。


ワイヤレス携帯無線機である。


装飾の趣味は、これを開発した研究室の変態だが。



「窖を見つけ次第連絡。
わかってるとは思うが、今回はあくまで大佐の救出が第一だからな」


「そんなこと、お前に言われたくねえっつの」


ヒツギはさも面白くなさそうに、唇を尖らせてそっぽを向いた。



「その台詞、ままお前にかえそうか。
一番実力行使に出そうだしな」


「ああっ!?」


「まーまー。
そのために僕がいるんですから」


「…………」


「グレンっ、フォローの一言くらい言えねえのかよっ」


「…特に」


「けっ!!」



< 50 / 77 >

この作品をシェア

pagetop