砂漠の水車
大佐が捕虜にされているのは、英軍が長く手を焼いている厄介な集団である。
なにが厄介かといえば、とにかく英軍を蹴散らすことが念頭にあって、そのためなら後先まったく考えない荒っぽいやり口をするからだ。
例えば、一番ひどい項目をあげれば、彼らは自己犠牲を美徳と勘違いする。
物を奪い、破壊するためなら全身にダイナマイト巻き付けて突っ込むなんてことざらで。
また使用する武器もとにかく強く、絶大な威力を求める。
英国にも、また帝国にだってそういう殺戮兵器を敵国のゲリラ集団に高値で売りたがる悪党はいるもので。
いるのはそりゃあ当然たりと納得できるが、しかし嘆きたくなるのは兵器のブローカーが軍にいるとき、特にだ。
長期の戦争でおかしくなりさえすれば、簡単に自分の味方も裏切る悪党。
自滅するのをわかっているか否かは知らないが、ともかく一時でも金が手にはいればそれでいい。
――…ああ、なんて腐っていることだろう。
ともかくも、英国軍が手を焼かされている野蛮人どもを帝国の若いのが潰してしまえば、向こうのメンツが丸潰れなのだ。
潰そうと思えば、難はないが。