アカイトリ
人、現る
その日は朝から何だか落ち着かない日だった。
凪も天花も颯太も皆が言葉にできない不安を抱え、そして颯太の部屋に集っていた。
「何だろう?この不安は」
ぽつりと凪が呟く。
「わたしも…ここがもやもやとする」
天花が胸を押さえる。
「…やって来たのかもしれないな」
颯太の一言で二人ははっとなった。
「例の神剣使いか?」
「恐らくは。詳しくまではわからんが…近いぞ」
「だからそんな恰好をしてんのか?」
――普段屋敷に居る時は浴衣が多い颯太だが、今日に限って動きやすい濃紺『じーぱん』とぴったりと身体に張り付く白い『てぃーしゃつ』を着ている。
傍らには、剣。
雰囲気でこれは今日何かが起こると判断した天花が部屋を出て行く。
凪がずいっと颯太に近づき、決意を強く言葉に込めた。
「どんな奴が来るかわからねーけど…俺を…信用してくれ」
最後は言いにくそうに言葉を詰まらせながらも照れた風に頬をかく凪の肩を颯太が笑いながら抱いた。
「ああ、頼りにしている。その人間を打ち負かすことができたならば、凪、お前や、全ての神の鳥たちにかけられた呪詛を解いてやれる」
――やっぱり自分のことは二の次か…
内心呆れつつも頷いていると、障子の外で楓の声がした。
「颯太様…来客です」
「…来たか?」
颯太は腰を上げた。
。
共に凪も立とうとしたが、それを制して颯太は楓と共に門へ向かった。
「何者だ?」
「わかりません。ですが…ただならぬものを感じます。ご注意を」
剣を持つ手に力が入る。
だがやって来た人を殺めるわけにはいかない。
「まずは対話を持ちたい。楓、できるか?」
「…相手があなたに手を出さなければ」
正直に答えた楓に苦笑しつつも門に到着すると――若い男が立っていた。
柔和な笑みに、異国渡来の『眼鏡』をかけている。
背は颯太と同じ位だ。
男はこちらを見て、道でも教えるように笑いながら言った。
「ああ、あなたが碧い鳥の末裔ですか?はじめまして、僕はあなたを殺しに来ました」
凪も天花も颯太も皆が言葉にできない不安を抱え、そして颯太の部屋に集っていた。
「何だろう?この不安は」
ぽつりと凪が呟く。
「わたしも…ここがもやもやとする」
天花が胸を押さえる。
「…やって来たのかもしれないな」
颯太の一言で二人ははっとなった。
「例の神剣使いか?」
「恐らくは。詳しくまではわからんが…近いぞ」
「だからそんな恰好をしてんのか?」
――普段屋敷に居る時は浴衣が多い颯太だが、今日に限って動きやすい濃紺『じーぱん』とぴったりと身体に張り付く白い『てぃーしゃつ』を着ている。
傍らには、剣。
雰囲気でこれは今日何かが起こると判断した天花が部屋を出て行く。
凪がずいっと颯太に近づき、決意を強く言葉に込めた。
「どんな奴が来るかわからねーけど…俺を…信用してくれ」
最後は言いにくそうに言葉を詰まらせながらも照れた風に頬をかく凪の肩を颯太が笑いながら抱いた。
「ああ、頼りにしている。その人間を打ち負かすことができたならば、凪、お前や、全ての神の鳥たちにかけられた呪詛を解いてやれる」
――やっぱり自分のことは二の次か…
内心呆れつつも頷いていると、障子の外で楓の声がした。
「颯太様…来客です」
「…来たか?」
颯太は腰を上げた。
。
共に凪も立とうとしたが、それを制して颯太は楓と共に門へ向かった。
「何者だ?」
「わかりません。ですが…ただならぬものを感じます。ご注意を」
剣を持つ手に力が入る。
だがやって来た人を殺めるわけにはいかない。
「まずは対話を持ちたい。楓、できるか?」
「…相手があなたに手を出さなければ」
正直に答えた楓に苦笑しつつも門に到着すると――若い男が立っていた。
柔和な笑みに、異国渡来の『眼鏡』をかけている。
背は颯太と同じ位だ。
男はこちらを見て、道でも教えるように笑いながら言った。
「ああ、あなたが碧い鳥の末裔ですか?はじめまして、僕はあなたを殺しに来ました」