アカイトリ
「お前たちは死ねないのを忘れていた」
女は薄暗い部屋の中で目覚めた。
そしてぼんやりした瞳で顔が見えない程度の少し離れた場所に座している颯太を見遣る。
…金色の髪だ。
「お前、自害はできないだろう?伝承通りだ」
「…わたしをどうするつもりだ。囲うつもりか」
「そうだな、ひとまずはお前の傷が治るまでは世話してやるぞ」
颯太は立ち上がり、むくりと半身を起こした女の側で座り直した。
…全裸だ。
当の本人は隠す様子もなく、脇腹に受けた矢傷に触れて顔をしかめている。
「名は何という?」
女は傷を見ていた視線を上げて、はじめて颯太の顔をまじまじと見た。
…何だ?
何なんだ、男の…その瞳の色は?
「お前…お前の瞳を知っているぞ……」
顔に伸ばされた手を掴み、颯太は女を押し倒す。
それでもなお、伸びてくる手。
「人に捕らえられたのは、はじめてだな?」
薄暗い部屋に、女の白い肌だけが眩しい。
「…そうだ。わたしは数千年を独りで生きてきた。たかだか十数年生きただけの人間などに捕らえられたことはない」
女は再び、唇が触れ合いそうな距離で真っ向から見つめてくる颯太の瞳の色を探る。
…深く、全てを見通すような藍色。
「お前……」
問い質そうとした時に、強引に唇が重なってきた。
舌が絡まってくる感触に身体が引きつった。
「逃げられると思うなよ。お前は、俺の女にしてやる」
再び重なった唇に、女は呆然としていた。
女は薄暗い部屋の中で目覚めた。
そしてぼんやりした瞳で顔が見えない程度の少し離れた場所に座している颯太を見遣る。
…金色の髪だ。
「お前、自害はできないだろう?伝承通りだ」
「…わたしをどうするつもりだ。囲うつもりか」
「そうだな、ひとまずはお前の傷が治るまでは世話してやるぞ」
颯太は立ち上がり、むくりと半身を起こした女の側で座り直した。
…全裸だ。
当の本人は隠す様子もなく、脇腹に受けた矢傷に触れて顔をしかめている。
「名は何という?」
女は傷を見ていた視線を上げて、はじめて颯太の顔をまじまじと見た。
…何だ?
何なんだ、男の…その瞳の色は?
「お前…お前の瞳を知っているぞ……」
顔に伸ばされた手を掴み、颯太は女を押し倒す。
それでもなお、伸びてくる手。
「人に捕らえられたのは、はじめてだな?」
薄暗い部屋に、女の白い肌だけが眩しい。
「…そうだ。わたしは数千年を独りで生きてきた。たかだか十数年生きただけの人間などに捕らえられたことはない」
女は再び、唇が触れ合いそうな距離で真っ向から見つめてくる颯太の瞳の色を探る。
…深く、全てを見通すような藍色。
「お前……」
問い質そうとした時に、強引に唇が重なってきた。
舌が絡まってくる感触に身体が引きつった。
「逃げられると思うなよ。お前は、俺の女にしてやる」
再び重なった唇に、女は呆然としていた。