アカイトリ
「わたしの何が知りたいんだ?」
そういえば、自分自身の話をしたことがなかった。
というか、わたしはわたしのことを知らない。
――颯太は常に護身用に持たされている短剣を手の中で玩びながら藍色の瞳をきらきらと輝かせた。
「お前は碧の話ばかり聞きたがる。俺はお前のことも知りたいんだ」
「わたしの何を知りたいというのだ」
短剣を脇に置くと、天花の手を取り、音を鳴らして口付けた。
「お前はどこで生まれた?」
「…南の方で生まれた」
今度は天花の指に自らの指をからませ、指の関節を緩急つけて愛撫してくる。
「ここは遥か東の国・倭だ。なぜここへ来た?」
「わ、からない…それより、はな、せ…っ」
だんだん身体が熱くなってくる感覚に、天花は身をよじって颯太から逃げようとする。
が、この細腕のどこにこんな力が、と思わせる力で背中から抱え込まれるように膝の上に乗せられると、颯太が耳元で囁いた。
「俺に、会いに来たんじゃないのか…?」
…ああ…
そういえば、何の気無しに、東へ行こうと思い立った。
ただ世界をさ迷って飛んでいるだけだったのに
何かに導かれるように、ここへやって来たのだ…
「…わからない…」
「この広い世界で俺たちはようやく巡り会った。天花、これは避けられぬ運命だったんだ」
今度は音も高らかに首筋を吸われ、身震いする。
「お前はさっきから一体…何を、しているんだ…っ」
「わからないか?好きな女には触れたいものだ。お前が心を開いてくれれば今にでもここで押し倒して、無茶苦茶に抱きたい…」
真顔でそう言い、浴衣の襟元をグイと肩が露出するまではだけさせると、指先で肩のラインをなぞった。
「噛んでいいか?」
「や、め……っ」
小さな拒絶の言葉も虚しく、颯太が天花の肩に甘噛みした。
「っ!!」
そこから、花の香りが漂う。
「抱いて、いいか?」
「…っ、駄目、だ…!」
天が白み始める――
そういえば、自分自身の話をしたことがなかった。
というか、わたしはわたしのことを知らない。
――颯太は常に護身用に持たされている短剣を手の中で玩びながら藍色の瞳をきらきらと輝かせた。
「お前は碧の話ばかり聞きたがる。俺はお前のことも知りたいんだ」
「わたしの何を知りたいというのだ」
短剣を脇に置くと、天花の手を取り、音を鳴らして口付けた。
「お前はどこで生まれた?」
「…南の方で生まれた」
今度は天花の指に自らの指をからませ、指の関節を緩急つけて愛撫してくる。
「ここは遥か東の国・倭だ。なぜここへ来た?」
「わ、からない…それより、はな、せ…っ」
だんだん身体が熱くなってくる感覚に、天花は身をよじって颯太から逃げようとする。
が、この細腕のどこにこんな力が、と思わせる力で背中から抱え込まれるように膝の上に乗せられると、颯太が耳元で囁いた。
「俺に、会いに来たんじゃないのか…?」
…ああ…
そういえば、何の気無しに、東へ行こうと思い立った。
ただ世界をさ迷って飛んでいるだけだったのに
何かに導かれるように、ここへやって来たのだ…
「…わからない…」
「この広い世界で俺たちはようやく巡り会った。天花、これは避けられぬ運命だったんだ」
今度は音も高らかに首筋を吸われ、身震いする。
「お前はさっきから一体…何を、しているんだ…っ」
「わからないか?好きな女には触れたいものだ。お前が心を開いてくれれば今にでもここで押し倒して、無茶苦茶に抱きたい…」
真顔でそう言い、浴衣の襟元をグイと肩が露出するまではだけさせると、指先で肩のラインをなぞった。
「噛んでいいか?」
「や、め……っ」
小さな拒絶の言葉も虚しく、颯太が天花の肩に甘噛みした。
「っ!!」
そこから、花の香りが漂う。
「抱いて、いいか?」
「…っ、駄目、だ…!」
天が白み始める――