アカイトリ
自分が発した言葉で、蘭は発火してしまいそうなほどに恥ずかしくなる。
がたっと椅子を倒して立ち上がり、ずるずると後ずさりした。
「もっ申し訳ありません…っ忘れてください、ほんと、忘れて…」
「蘭…お前…」
…とうとう、感づかれた?!
それこそ、本望ではあったが、逆に気付かれたくもなかった。
あの朱い鳥には、勝てない――…
両手で顔を覆った蘭の手を外し、颯太が優しくぎゅっと蘭を抱きしめた。
かちり。
時計が、12時を指した。
もう、死んでもいい・・・…!
――すると、颯太がぽんぽんと蘭の頭を撫でる。
「そうか…男日照りが長かったんだな、可哀相に」
…えぇーーー!?
「そ…颯太…様?」
「いや、いいんだぞ蘭。長くこの屋敷に仕えて忙しくしてるもんな、男日照りにもなるよな、気付いてやれなくてすまなかった」
そう言い、両腕で抱きしめてくれる颯太に怒っていいのか、泣いていいのかわからなくなる。
…とりあえず誤解はあるものの、蘭も強く抱きついた。
かちこち、と時計の音だけが響く。
「…蘭」
「……はい?」
すると、颯太が腰に手を下ろしてぎゅっと身体を密着させる。
「お前、華奢だが案外胸があるな」
「…!!や、やだ、やめてください颯太様っ」
本気で恥ずかしがる蘭に、颯太は微かな愛情を感じつつ、蘭の短い髪を撫でる。
「今までの俺は何もかもに余裕がなかったが、これからはお前の誕生日も一緒に祝ってやれる。使命を果たす時が来たから…」
…何を言っていいのかわからなかったので、颯太のたくましい胸に頬をこすりつけた。
「…いかん」
「…ど、どうしたんですか?」
颯太は身体を離して蘭の顔を屈んで覗き込んだ。
そして、蘭の左耳に、先程まで手遊びしていた薔薇を挿す。
「蘭、お前が可愛くて抱いてしまいそうだから、部屋に戻る」
じゃあ、と言って台所を出て行った颯太を見送り、蘭はへなへなとその場に座り込む。
涙が零れた。
「…抱いてよ……」
25回目の誕生日は、しょっぱくて、嬉しくて、悲しかった――
がたっと椅子を倒して立ち上がり、ずるずると後ずさりした。
「もっ申し訳ありません…っ忘れてください、ほんと、忘れて…」
「蘭…お前…」
…とうとう、感づかれた?!
それこそ、本望ではあったが、逆に気付かれたくもなかった。
あの朱い鳥には、勝てない――…
両手で顔を覆った蘭の手を外し、颯太が優しくぎゅっと蘭を抱きしめた。
かちり。
時計が、12時を指した。
もう、死んでもいい・・・…!
――すると、颯太がぽんぽんと蘭の頭を撫でる。
「そうか…男日照りが長かったんだな、可哀相に」
…えぇーーー!?
「そ…颯太…様?」
「いや、いいんだぞ蘭。長くこの屋敷に仕えて忙しくしてるもんな、男日照りにもなるよな、気付いてやれなくてすまなかった」
そう言い、両腕で抱きしめてくれる颯太に怒っていいのか、泣いていいのかわからなくなる。
…とりあえず誤解はあるものの、蘭も強く抱きついた。
かちこち、と時計の音だけが響く。
「…蘭」
「……はい?」
すると、颯太が腰に手を下ろしてぎゅっと身体を密着させる。
「お前、華奢だが案外胸があるな」
「…!!や、やだ、やめてください颯太様っ」
本気で恥ずかしがる蘭に、颯太は微かな愛情を感じつつ、蘭の短い髪を撫でる。
「今までの俺は何もかもに余裕がなかったが、これからはお前の誕生日も一緒に祝ってやれる。使命を果たす時が来たから…」
…何を言っていいのかわからなかったので、颯太のたくましい胸に頬をこすりつけた。
「…いかん」
「…ど、どうしたんですか?」
颯太は身体を離して蘭の顔を屈んで覗き込んだ。
そして、蘭の左耳に、先程まで手遊びしていた薔薇を挿す。
「蘭、お前が可愛くて抱いてしまいそうだから、部屋に戻る」
じゃあ、と言って台所を出て行った颯太を見送り、蘭はへなへなとその場に座り込む。
涙が零れた。
「…抱いてよ……」
25回目の誕生日は、しょっぱくて、嬉しくて、悲しかった――