アカイトリ
よくよく考えてみると、碧が何故その方法を記し遺していないか、天花は気付いた。
遺す必要がなかったのだ。
始祖を追って、恋い焦がれて死に逝くつもりだったから。
また、始祖にもその方法を試さなかった。
下手をすれば、別れを早めてしまうかもしれない方法だから。
神の鳥の血は …人間に不死をもたらす。
たいていの人間は、その強力な効力に身体がついていかず、絶命した。
碧は、始祖を失いたくなかったのだろう。
だから天命に身を委ね、共に世界を去った。
「まあ、話したくなったら言え。聞いてやるぞ」
…この男は碧の鳥の末裔でありながら、極限に短い命を受け入れている。
この男ならば…わたしの血に打ち勝ち、永遠の生命を生きられるのではないだろうか?
けれど不死とは、決して幸福ではない。
それはわたしが身を持って証明できる。
――小さくため息をついた天花の顔を覗き込むと、颯太は天花の手から団扇を掠って風を送ってやった。
汗で首に朱い髪がへばり付いている。
「なあ、神の鳥とは何ができるんだ?何かやってみせてくれよ。魔法は使えるのか?」
少年のように藍色の瞳を輝かせてさらりと髪に触れてくる。
「…わたしに触れる時は、先に断りを入れろ」
「ん?何故だ」
「お前に触れられると・・・なんだかこの辺りがざわざわする」
――胸を押さえた。
「…ふうん?」
「だから先に断りをこれから入れろ」
「俺のものになぜ断りなど入れねばならんのだ?」
むっとした表情になると、ぷいっと顔を背けた。
「わたしはお前の所有物ではない。わかったな?これからは…」
「はいはい、わかったわかった」
あやされるように言われ、天花はますますむっとなり、庭園へと降り立つ。
「お前に魔法を見せてやる」
遺す必要がなかったのだ。
始祖を追って、恋い焦がれて死に逝くつもりだったから。
また、始祖にもその方法を試さなかった。
下手をすれば、別れを早めてしまうかもしれない方法だから。
神の鳥の血は …人間に不死をもたらす。
たいていの人間は、その強力な効力に身体がついていかず、絶命した。
碧は、始祖を失いたくなかったのだろう。
だから天命に身を委ね、共に世界を去った。
「まあ、話したくなったら言え。聞いてやるぞ」
…この男は碧の鳥の末裔でありながら、極限に短い命を受け入れている。
この男ならば…わたしの血に打ち勝ち、永遠の生命を生きられるのではないだろうか?
けれど不死とは、決して幸福ではない。
それはわたしが身を持って証明できる。
――小さくため息をついた天花の顔を覗き込むと、颯太は天花の手から団扇を掠って風を送ってやった。
汗で首に朱い髪がへばり付いている。
「なあ、神の鳥とは何ができるんだ?何かやってみせてくれよ。魔法は使えるのか?」
少年のように藍色の瞳を輝かせてさらりと髪に触れてくる。
「…わたしに触れる時は、先に断りを入れろ」
「ん?何故だ」
「お前に触れられると・・・なんだかこの辺りがざわざわする」
――胸を押さえた。
「…ふうん?」
「だから先に断りをこれから入れろ」
「俺のものになぜ断りなど入れねばならんのだ?」
むっとした表情になると、ぷいっと顔を背けた。
「わたしはお前の所有物ではない。わかったな?これからは…」
「はいはい、わかったわかった」
あやされるように言われ、天花はますますむっとなり、庭園へと降り立つ。
「お前に魔法を見せてやる」