龍奇譚-彼女の秘密-
第0章
夜空に浮かぶモノ
――――――………
何もかもを黒く、暗く染める夜の闇を満月が照らす中。
俺は家へと続く道、住宅街を歩いていた。
部活が終わり、疲れた足を動かして。
これほどまでに、家が遠いと感じたことはなかった。
薄暗い道を照らす明かりは、点々とそびえ立つ街灯と月明かりのみで。
しかもその街灯は今にもこと切れそう。
何度も、明滅を繰り返している。
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