龍奇譚-彼女の秘密-
顔を上げた先に居たのは、
何を考えているのかよく分からない表情を浮かべている龍宮 司だった。
何故、龍宮が来たんだ……?
龍宮の視線は俺の横で弁当にがっついている凌を指している。
凌はそんな視線には気付く事もなく、
次々と飯を口の中に運んでいく。
(………こいつは……)
凌は集中すると周りの様子が見えなくなる癖がある。
飯を食うのに集中するってのはどうかと思うが……
幸せそうに飯を食べ続ける凌に少しばかりの苛立ちを覚えた俺は、
右手で拳を作りそれを凌の脳天めがけて思いっきり振り下ろした。