龍奇譚-彼女の秘密-
―――……っ!!!
突然の事に足が止まった。
「うわっ…最悪……」
暗いのは苦手だ。
闇に俺自身が吸い込まれて行きそうで。
抗う事も出来ないまま。
だが、満月という事もあってか。
街灯が消えてもまだ、いつもより明るさを保っていた。
足元を見ると薄っすらと影が出来るほどだった。
今はあの月に感謝だな。
そう思って俺はその場に足を止め、すっと夜空を見上げる。
煌々と輝く満月と密やかに光を放つ少しの星々がすごく綺麗だ。
そう、感じた。