龍奇譚-彼女の秘密-





………………



「解(カイ)」



私はなぜだか急に恥ずかしくなり、俯きながら結界を解いた。





「ふぅ…やっと出れた。

ありがとう!!龍宮」

「………別に……」



私が術を解く事を忘れていたのにも関わらず、

満面の笑みで礼を言う水嶋 凌は、

固まった体をほぐすかのように、腕を伸ばした。





何でこの人は、こんなにも簡単に、

「ありがとう」

という一言が言えるのだろうか………





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