龍奇譚-彼女の秘密-
予想外の人物が立っていて、
口にくわえていたエビフライが危うくこぼれ落ちるところだった。
慌ててエビフライを口の中に押し込む。
「…んぐっ!!…ぐっ、……ぐ」
慌てすぎたせいでエビフライが喉に詰まった。
胸をドンドン叩いて、
喉に詰まったエビフライを無理やり胃の中へと流し込む。
「………ゴホッ、ゴホッ」
やっとのこと、エビフライが喉を通り、数回咳こむ。
「お前…慌てすぎだ……」
侑大が呆れた顔で呟いた。
俺は侑大が差し出してきたお茶を受け取ると、
それをがぶ飲みした。
侑大は口は悪いが、根は優しいんだ………
その証拠に自分のお茶を差し出してきたのだからな。
その間、龍宮は何も言わずただ俺を見下ろしていた。