~リアル昔話し'08~
【醜いアヒルの仔】
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「お前キモチ悪ぃーんだよ」
「やーい、クロマティー、キャハハハハ」
「そば来んじゃねぇーよ、ウツんだろうが」
どうして僕だけみんなと違うんだろう……。
みんなは真っ白な毛に覆われているのに、僕の身体は生まれつき薄汚れた灰色だ…。
両親でさえ、気味悪がって僕を捨てて消えてしまった。
どうして僕だけが……。
「ごめんよ、坊や…またイジメられたのかい」
「ど、どうしたの? 何でおばあちゃんが謝るのさ、僕なら平気さ。こんなのヘッチャラだよ」
そうさ、僕には夢があるから。
この何処までも広がる、真っ青な大空を飛んでやるんだ。
辛い時、悲しい時、空を見てると何もかも忘れる事が出来る。
強がりなんかじゃない。
だから今は平気。
♪♪ 上を向~いて歩こ~う 涙がぁ こぼれ~ないよぉ~に ♪♪
そこには、今日も眩い純白の大きな羽根を広げ、悠然と青空を泳いでいる群れがいた。
「僕もいつか、あんな風になりたいなぁ」
そんな僕の声が聞こえたかの様に、群れから一羽の白鳥が舞い降りてきた。