~リアル昔話し'08~
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もも太郎はすくすくと成長していきました。
時に両親を不安にさせるくらい、それはそれは尋常じゃない程…通常児の数倍の早さで育っていきました。
実母の呪いか、はたまた神の力か…。
しかし、老い先短い老夫婦にはソレは有り難い事でした。
「これで老後の面倒をみてもらえる、しめしめ…」
思わずニヤけてしまうこともしばしば。
もも太郎、十五歳の春。ある転機が訪れました。
突如、京の都に、神出鬼没の『鬼』と呼ばれる極悪集団が出没しだしたのです。
窃盗、強奪、人身売買を繰り返す盗賊たちに困り果てた朝廷は、全国各地に討伐者を募集しました。
《参加者募る。
資格―成人男子の強者!!
成功者には金一封!!》
目の色を変えて食い付いたのがもも太郎のおばあさんでした。
ここぞとばかりに、もも太郎にけしかけました。
「もも太郎、今すぐに鬼退治にむかいなさい!?
相撲大会でも、大のおとな達相手に負け知らずのお前なら絶対大丈夫だから」
「ほ、本気ですか…?
一国の大名でさえ手に負えない盗賊を一人で……」
第一、僕まだ中三じゃないか…。
嘆くもも太郎でしたが、コレは彼にとってチャンスでもありました。
「いい年して、働きもしないで‥‥」
「昼間っから子供と遊んでばっかで‥‥」
近所でこんな噂をされていたのをもも太郎は知っていました。
ようし、見返してやる!!
もも太郎は決意しました。
「わかりました、僕行ってきます」
見た目にはすっかり成人していた彼の参加に、誰も疑問を持つ者はいなかった。
それどころか、大段幕まで掲げられるしまつ。
『もう後戻りは出来ねぇ‥‥』
金属バットとメリケンサック、それとおばあさんがこしらえてくれた特製きび団子を持って、いざ鬼が島へ向かうもも太郎。