~リアル昔話し'08~
そしてウサギ(末)はカメにいい寄った。
「ありがとうございました。僕はこの日のために、生まれた時からありとあらゆる英才教育を受けてきました。
全てはあなたを打倒するため。そして知りたかった。
何故彼らはあなたにそれ程こだわったのか?
勝利の先に何が在るのか?」
「そうですか…では見つかりましたか、その探し物は」
すがすがしい顔でウサギ(末)は答えた。
「いえ、何も……」
それどころか敗北、喪失感すら漂っている。
「でしょうね…では私はこれで」
その後ろ姿を見て、ウサギ(末)は自分達の器の小ささを痛感した。
試合に勝って、勝負に負けたウサギ(末)。
それ以来、ウサギがカメにちょっかいをかける事は二度となかった。
-完-