~リアル昔話し'08~
-8-
来た時と同じ様に、青年を乗せ、亀は地上を目指した。
「いゃ~、ホントに楽しかったなぁ…ありがとう亀さん」
「いえいえ、本来でしたら何度でも来て頂きたいんですけど、故郷の方針がありまして…」
言葉につまる亀。
「あ、いや…何をおっしゃいます。こちらこそ、僕が言うのも変ですけど…申し訳ない。動物虐待してまで、伺おうとは思いません」
青年は本心だった。確かに夢のような日々を過ごすことが出来た。大したことをしたわけでもないのに、ありがたいことだ。
しかし、ある違和感を感じたのも事実。
時間を忘れる程の至福の一時を味わえた。と、同時に、日常に戻れるか不安だった。
日々の仕事、家庭、悩み、全てを忘れてしまうんじゃないかと思うくらいの感覚だった。少なからず恐怖を感じたのだった。
《ジブンガジブンジャナクナル……》
「お待たせしました、あと数分で到着します」
「いゃ~、ホントに楽しかったなぁ…ありがとう亀さん」
「いえいえ、本来でしたら何度でも来て頂きたいんですけど、故郷の方針がありまして…」
言葉につまる亀。
「あ、いや…何をおっしゃいます。こちらこそ、僕が言うのも変ですけど…申し訳ない。動物虐待してまで、伺おうとは思いません」
青年は本心だった。確かに夢のような日々を過ごすことが出来た。大したことをしたわけでもないのに、ありがたいことだ。
しかし、ある違和感を感じたのも事実。
時間を忘れる程の至福の一時を味わえた。と、同時に、日常に戻れるか不安だった。
日々の仕事、家庭、悩み、全てを忘れてしまうんじゃないかと思うくらいの感覚だった。少なからず恐怖を感じたのだった。
《ジブンガジブンジャナクナル……》
「お待たせしました、あと数分で到着します」