~リアル昔話し'08~
-10-
「おーい、こんなトコで寝てちゃ風邪ひくぞー」
「…う、う~ん……」
友人の声で青年が目を覚ましたのは、日も沈みかけた、夕暮れどきだった。
「オイオイ、弁当食ってそのまま浜辺で寝ちまったのか」
呆れ顔で友人が笑った。
「べ、弁当!?」
青年のそばには色鮮やかな漆塗の施された重箱が置いてあった。
「何だコレ…オレの? 覚えてないな、何だってこんなとこで」
青年に数時間前までの記憶は一切残っていなかった。言われた通り玉手箱のフタを開けた瞬間、大量の煙があっという間に青年の全身を覆い包み、竜宮城での記憶を奪っていったからだ。
「どこだぁぁぁ―――っ」
静かな波打ち際から、聞き覚えのある不快なダミ声が鳴り響く。
「ま~た来てやがるよ、あのじいさん」
「し、知り合いか…あのコジキ……」
青年は軽蔑した顔で尋ねた。
「知ってるも何も、近所じゃ有名なクソじじいだよ。朝から晩まで海で亀探してるって」
「か、亀…なんで?」
「さぁな。困ったもんだぜ、浦島のじじいにも」
「…う、う~ん……」
友人の声で青年が目を覚ましたのは、日も沈みかけた、夕暮れどきだった。
「オイオイ、弁当食ってそのまま浜辺で寝ちまったのか」
呆れ顔で友人が笑った。
「べ、弁当!?」
青年のそばには色鮮やかな漆塗の施された重箱が置いてあった。
「何だコレ…オレの? 覚えてないな、何だってこんなとこで」
青年に数時間前までの記憶は一切残っていなかった。言われた通り玉手箱のフタを開けた瞬間、大量の煙があっという間に青年の全身を覆い包み、竜宮城での記憶を奪っていったからだ。
「どこだぁぁぁ―――っ」
静かな波打ち際から、聞き覚えのある不快なダミ声が鳴り響く。
「ま~た来てやがるよ、あのじいさん」
「し、知り合いか…あのコジキ……」
青年は軽蔑した顔で尋ねた。
「知ってるも何も、近所じゃ有名なクソじじいだよ。朝から晩まで海で亀探してるって」
「か、亀…なんで?」
「さぁな。困ったもんだぜ、浦島のじじいにも」