~リアル昔話し'08~
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息をのむ一行。ついに鬼が島へとたどり着いてしまいました。
「だ、誰か様子を見てきてくれないか…」
三匹はピクリとも動こうとしません。
「オイ、おめー見てこいよ」
サルが犬に向かって口火をきりました。
「あ"ぁー何言ってやがる!? オレの方が先に入ったんだから、舎弟のてめぇが行ってこいや」
犬もすぐに反撃。
「大して変わんねぇだろーが」
互いになすりあい、言い争い、そして殴り合いに発展。
大昔から『犬猿の仲』と言われる程仲の悪い二匹が、そもそも力を合わせるなど無理だったのだ。
ハァ‥‥。もも太郎はため息が出ました。
「じゃあ、自分がちょっくら見てきますよ」
このままじゃラチが開かないという事で、翼を持ったキジが空から様子を伺うことに。
『最初っから行けよ…』
とりあえず一安心のもも太郎。
しかし、待っても待っても、いつになってもキジは戻ってきません。
一体どうしたんだろう‥‥。いくら何でも遅すぎる‥‥。
まさか…。不安がよぎる。
「ケケケ、野郎、バックレちまったんスかねぇ」
「いやぁ、捕まって焼き鳥にでもされちまってんスよ、きっと」
「…………」
静まり返る空気。
心配になったもも太郎は自ら島へ潜入し、辺りを探しましたが、キジの姿は見当たらず‥‥。
見えるのは、旨そうに焼き鳥をほうばる門番の姿だけでした。
「なんてこった…」
急いで状況を報告しに走るもも太郎に更に追い討ちが。
戻ってみると、犬もサルも荷物も見事に消えていました。
「う、うそだろ…」
絶望するもも太郎。
ふと、夜空を見上げると、キジがあさっての方向に飛び去って行くのが見えました。
「ちくしょう―――!?」
思わず声を荒げて地面の石を蹴り上げると、運悪く門番の頭に的中してしまいました。
「くせ者じゃ、出あえぇ、出あえぇ――!!」
何から何までツイてないもも太郎でした。