~リアル昔話し'08~
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「く、くそがぁぁ~、やってやんぜぇぇ―――」
失うモノの無かったもも太郎は暴れました。
立ちはだかる敵を物ともせず、それこそ鬼のように暴れました。
しかし、やはり本物には勝てませんでした。
いくら腕っぷしに自信があるとは言え、さすがに一人では限界が…。
すぐに捕まって、袋叩きにあい、縛りあげられてしまいました。
「ぺッ、殺れよ…どうせ俺には帰る場所なんてありゃしねぇーんだからよ」
死を覚悟したもも太郎に、鬼の頭は思いもよらないコトを言ってきました。
「われ、中々やりおるやんけぇ…そのウデ、根性、気に入った!!
どや、わしらの仲間にならんか?」
「な、仲間‥‥」
今まで自分には縁の無いと思っていた言葉に、一瞬ときめいたもも太郎でしたが、すぐに我に返りました。
『な、何言ってんだよ…出来るわけないだろ?
こんな悪党どもの仲間にだなんて…』
そして呆れて答えた。
「僕は世のため、人のため、村の平和のために参上したんだ。
それを、お命ほしさに寝返るだなんて…申し訳が立たない」
鬼の頭はニヤついて尋ねた。
「ククク…じゃあ聞くが、その村の物共はお前に何をしてくれたんだ?
だったら何故お前は独りで戦ってるんだ?」
!?・・・・。
「そ、それは……」
ぐさりと胸に突き刺さる言葉でした。
もも太郎自身、薄々気付いてはいたが、あえて心の奥底に閉じ込めてカギをかけていた。
それはいわば、開けてはならない《パンドラの箱》の様な感情でした。
しかし、鬼の一言で忘れかけていた苦い記憶は蘇ってきました。