もしも君が助けてくれたら
「分かったで」

「分かったな。綺麗な人っていったらアイツしかいないもんな」

「あぁ。アイツも罪なやっちゃの」

ニヤニヤと笑っている二人が同時に言った。

「「ヒイラギ」」

俺は少しだけ顔をしかめた。

アレだけで分かるってこいつらエスパーかよ。

二人はニヤニヤと楽しそうに笑いっぱなしだ。

「柊のことなら高田が男子の中では一番詳しいで」

「あいつ、柊の幼なじみだからね」

「近藤も詳しいけどな」

「奈々は俺が一緒の時に聞け」

「彼氏がこうやけんな」

二人のコンビネーションは面白いと率直に思う。

俺でも笑ってしまうほどだからな。

二人は俺の背中を押した。

「ほれ、いってきーな」

「高田に話し聞いてこい」

俺は少しもつれる足を前に進めた。

高田の隣に立って高田のみている方向に目をやると、あの大きな木の下で気持ちよさそうに目を眇めて上をみている柊の姿があった。

膝にはあのまるまるの猫がいた。

「・・・柊って、変な奴だよな」

俺が呟くと、高田が苦笑を浮かべた。

「そうだな。あいつは変な奴だ」

けど・・・、けどさ・・・。

「どこか悲しそうな顔してるよな。つまらなさそうな、なんとなくだけど、毎日が疲れるような顔してる」

すると、高田が目を見開けた。

「おまえ・・・」

俺が高田をまっすぐに見つめると、高田は罰が悪そうに後頭部をガリガリとかいた。

「・・・柊って、どういう奴?」

高田はフェンス越しに見える柊を目を眇めてみた。

「一言で言えば”訳有り”。多分、アイツも自分がそういう奴だって自覚してるだろ。だからあんな顔してんだよ」

訳有り・・・・?

そういえば、先生もそんなこと言ってたような・・・。

「先生も[彼女も彼女なりに頑張っている]つってた。これってどういう意味なんだ?」

高田は少し躊躇したが、小声で俺に話しかけた。

まるで、植野と東には聞かれないようにするかのようだった。
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