もしも君が助けてくれたら
「アイツんとこの家、ちょっと複雑っつーか、いろいろあってな。父親と母親がちょっと前に離婚して、その数日後母親が倒れて、鬱病となんか重い病気にかかってんだと。父親はモデルしててよ。・・・カティークークって知ってるか?」

カティークークといえば、何十年も前からモデルをやっているけれどいつまでも流行が廃れない珍しい超スーパーモデルで、一時俺も憧れだった男だ。

ワイルドなイメージで、歳を重ねるごとにカッコよくなっている男だ。

「そいつがアイツの父親。よくみてみれば目元とか、口とか似ている部分ある」

マジかよ・・・。

俺は少し唖然として遠くにいる柊をみた。

「んで、そいつが離婚するときに由良と夏・・・あ、由良の弟のことな。その二人のために多額の金を貯金してくれたんだ。多分、一生困らないくらいの金。それでやっていけてはいるけど、母親がな・・・。どうも、植物人間らしい。意識はあるものの、いつもボンヤリとしていて、話しかけても何も答えてくれず、口を開けば謝罪の言葉ばかり。何でそうなったのかも分からずじまい。最終的に今は由良と夏の二人暮らしで、親の暖かさがほしいんだろうな。いつもあぁやってぼんやりと考えごとしている。しかも、親戚やらなんやらが夏を受け取りたがるんだよな。まだ中学の夏はおそらく、高校の由良とは違ってあまり金かからないし、幼いほうが可愛いだろ?しかも、夏は父親ほんっとそっくりだから夏ばかり親戚はとりたがる。由良は夏を必死に守ってんだよ。これで夏が奪われたら、由良はいつも以上に毎日がつまらなくなるだろうな・・・。けど、まだ由良は隠し事をしている。絶対になにか・・・。離婚した理由も教えてくれないしな」

その時、昼休み終了のチャイムがなった。
< 24 / 44 >

この作品をシェア

pagetop